(一社)日本小児障がい児支援協会とは
障害児医療マッサージの第一人者で10年以上障害児専門で施術を行い、専門医やPTからも高い評価を受けている青山かほる先生が設立した協会です。
GLITTER式®プログラムとは、脳に障害のある子どもたちのために開発された専用のプログラム(商標登録済)です。
(一社)日本小児障がい児支援協会の青山かほる代表が、10年以上の臨床経験をもとに開発してきた、代替医療とケアを融合させた第三の選択肢です。
GLITTER式®プログラムの中でも、医療マッサージは脳と身体の土台を作るプログラムです。
脳の一部を損傷しても、神経回路を再構築し、失った機能を回復することを脳の可塑性といいます。
例えば、寝返りをしたりお座りをしたりといった動作をできるようになるためにはまずは先に身体の状態や外からの刺激などの情報を脳に届ける「感覚系」を鍛え、その入力された情報を脳内で上手に整理・処理できる能力を身につけなければなりません。ところが子ども達の多くは、麻痺や感覚障がい、弱視によって、刺激をうまく感じ取り脳へ伝えることができません。
そのためGLITTER式®では、独自のマッサージによって触覚や固有感覚を刺激し視覚や聴覚にも働きかけて気づきを与えながら神経回路を作っていきます。
また同時に、マッサージによって副交感神経を優位にし脳をリラックスさせたり、脳幹(綱様体賦活系)の働きを正常に整えて脳のノイズを鎮めたり、睡眠の質を向上させてグリア細胞を活性化させ、脳を回復しやすくしていきます。
GLITTER式®医療マッサージでは「露出した脳」とも呼ばれるほど情報処理能力が高く、最も原始的な感覚である「触覚(皮膚感覚)」と、脳内マップの構築や筋緊張のコントロールに欠かせない「固有感覚」にアプローチしていきます。
触覚は非常に古い重要な感覚の一つで、皮膚にある様々な受容器によって情報が受け取られています。視覚や聴覚などあらゆる感覚も、起源は皮膚にあるといわれています。触覚は危険を察知する重要な情報源であると同時に、ものを認識したり、人とのかかわりや情緒の安定、さらに心の形成にも重要な役割を果たしています。
触覚情報は人間に情緒の発達とも深い関係があります。アメリカの生物学者ハーローらが1960年代に行った実験では、毛足の長いタオルで作った親猿とミルクが入った哺乳瓶を固定した金属で作った親猿の両方を置いて実際の子猿の様子を観察したところ、子猿は心地よい触覚刺激を与えるタオルの親猿に寄り添い多くの時間を過ごしたという結果が出ています。
このように心地よい触覚体験は子どもに安心感を与え情緒の安定に貢献すると考えられています。
感覚調整の問題を持っている子は、安定した対人関係を築きにくかったり、情緒的にも不安や恐怖感が強かったり、逆に無感情な印象を与えることもあります。
単に筋肉のコリをほぐすような手技とは全く異なり、障がい児専用に開発された特別な手技で、脳の感覚野の発火を促していきます。子どもたちが自分の体や刺激に「気づける」ように導いていくのです。
一方、運動の面でも触覚(皮膚感覚)は重要な働きをしています。赤ちゃんは自分の手や足に関心を持ち、舐めたり、つかんだりする遊びを繰り返し行います。この遊びを繰り返しながら自分の身体の地図を作り始めるのです。
運動に伴う触覚体験は体の大きさや手足の格好など体を動かすときに使う地図(身体地図)を形成し、運動のコントロールに寄与します。そのため触覚情報が上手く使えなくなると、環境の物理的性質を知覚できないばかりでなく、自分自身の身体の地図も曖昧なものとなり、結果としてその身体を環境に合わせて動かすことが難しくなるのです。
「どこからどこまでが自分の身体か?」「自分の身体はどういうパーツで構成されているのか?」「身体は今どうなっているのか?」自分の身体をよく認識できていない段階でリハビリをしても、目に見える成果が出ないのは当然です。
子どもたちには「身体を動かしたい」という本能的な欲求があります。ですが、身体を動かそうにも筋肉の緊張が邪魔してうまく動かせないのです。麻痺や弱視、感覚障がいなどのせいで、自分の身体がどうなっているのかを、うまく感じ取れないのです。そのため、脳が得られる情報が少なく、脳内マップが正しく構築できていません。
GLITTER式®医療マッサージでは、脳が刺激を感じ取りやすい特殊な手技や動きを加えることで、子どもたちが自分の身体を認識できるように促していきます。「知識は身体を必要とする」という言葉がある通り、ボディーイメージ(脳内マップ)なしに自己認識を持った「思考する人」にはなれません。逆に、自分の身体を認識できるようになると、子どもたちの知能や全般的な能力はぐんぐん発達していきます。
筋肉の緊張が強いまま身体が大きくなると、側弯や股関節脱臼になりがちです。側弯が進むと嚥下(飲み込む動作)が難しくなったり胃が小さくなったりして、食事ができなくなることがあります。また、肺を圧迫して呼吸困難になり、最悪の場合は死に至ることもあります。
こうした子どもたちに対して、緊張を緩める手技や筋肉に張りを出す手技を組み合わせ、全身の筋肉の状態を整えていきます。
マッサージで緊張が緩んだ状態を何度も身体に経験させることで、脳の中に回路を作っていったり、脱力できる体位や動きを覚えさせていくことで、次第に緊張せずにいられる時間が長くなり、自分でも緊張を緩められるようになっていきます。その結果、側弯や変形の予防・改善もできていくのです。